中山邸_1983年_設計:宮脇檀さんの取り壊し前最後の見学会

宮脇檀さんといわれる、本でしか見たことのない人の考えを少しでも理解したくて住宅遺産トラスト主催の中山邸(1983年・設計:宮脇檀)の取り壊し前最後の見学会へ行って来ました。
宮脇さんは既に他界されておられます。「玄関の軒は低く低く」「アプローチは脇から取れ」などの格言の実際をこの建物で体験したかったのでした。

中山邸は、バラ園でも有名なほど大きくてきれない庭の中に建てられていました。

綺麗なリビングです。

大きな庭と豪邸でした。

玄関へのアプローチ。立派な門です。

玄関前のポーチの天井です。

玄関を入って回遊式になっている廊下です。

天井側面に穴が空いていますが、そこには電球が入っていまして、間接照明でキレイな光を演出出来るようにしていました。

入居している方の話では、電球を交換するのが面倒で使っていなかった、、、と話されていました。

セントラルヒーティングも早い時期に壊れてしまい、使っていなかったそうです。現実的に良く聞く話でした。

上からの光、下からの光を取り入れられて綺麗です。

和室です。コンクリート打ちっ放しに和紙を貼っていました。

和室の壁だけは、ジャンカが多く塗装の仕上がりが悪かったので和紙を貼ったそうです。

浴室の窓から入り込む光がやわらかいです

窓が、上と下へ2ヶ所あります。下の窓は、湯船につかって外を眺められます。

細かいこだわりの細工が多く仕込まれています。

写真はありませんが、トイレのカウンターの曲げ木仕上には驚きました。

浴室の仕上、サッシが全て木なのは「手の触れる所は人間の素肌にやさしいものでありたいと思うから」という宮脇さんの思いからだそうです。

寝室出窓です。光が入りとても落ち着きます。

寝室出窓の中です。

天井には採光のためにガラス、側面には通風の窓があります。

温熱環境のことから考えた場合は、ナンセンスと言われる設計になりますが、建築家と言われる人達の設計手法を温熱環境を考えた上で取り入れる事が出来たらいいなと常日頃考えています。

瓦屋根なのですが、コンクリート打ちっ放しで仕上げています。

RCの外壁打ちっ放しは、土蔵的(和風的)にならないように太い目地をわざわざ入れています。外壁の色は、アルミ粉を入れて半透明銀色に仕上げる予定だったのが、薄い白ペンキ拭きとりの上クリヤラッカーで仕上げたそうです。

宮脇壇さんは、数々の配慮を設計に入れて素晴らしい空間をつくっていました。

今回見学させて頂きまして感じたことは、「建物は完成させるまでだけが仕事ではなく、完成した後の維持管理に対する考え方が非常に大切であり、その考え方とノウハウを住む人に理解して頂く事が最も大切な仕事である」と痛感しました。

「ヨシのいえ」

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